小泉総理のチェコ訪問 日・チェコ首脳会談共同記者会見

日・チェコ首脳会談後の共同記者会見(要旨)

平成15年8月21日

シュピドラ首相冒頭発言

今回、小泉総理によりチェコを訪問して頂いたことは、日本の総理として初のチェコ訪問であり、画期的なことである。これは、日・チェコ関係が新しい発展の段階に入ったことを意味する。両国関係は友好関係を維持してきたが、今後これを更に発展させたい。

今回の首脳会談では、小泉総理より、多くの日系企業がチェコに進出していることを嬉しく思う旨発言があった。チェコ企業による日本市場への 進出は、互いの経済関係にとって重要な役割を果たすことと考える。チェコのEU加盟は、両国の経済関係に新しい関係をもたらすことになろう。

国際関係では、チェコは北朝鮮問題につき重要な貢献をすることができ、日本の立場を全面的に支持している。

小泉総理冒頭発言

今回、日本の総理大臣として初めてチェコを訪問することができ、シュピドラ首相を始め政府関係者並びにチェコ国民の皆様に温かく歓迎して頂 き、厚く御礼申し上げる。日・チェコ関係はこれまで良好な関係を維持してきたが、今回の首脳会談を機に、チェコのEU加盟を踏まえ、更に発展させていくこ とで認識の一致をみた。

投資等の面で日・チェコ関係が更に深まることを確信しており、この点でも共通の認識を得るに至った。

両国は、イラク、北朝鮮等国際問題でも協力する分野が拡大していることで認識の一致を見た。

今回の欧州訪問によって、EUとの関係、チェコとの関係が更に深まることを期待している。EU拡大の中で、日・チェコ関係の拡大も確信することができた。首脳会談を契機に、日・チェコ関係を更に発展させていきたい。

質疑応答

【質問】
本日は、ソ連軍侵攻35周年記念にあたるが、小泉総理は当時のことを覚えているか、当時どのようなお気持ちをもたれたか。

【小泉総理】
ソ連軍の侵攻は、自由に対する多くの人々の希求を踏みにじる行為であり、憤慨したことをよく覚えている。多くのチェコ国民が自由を抑圧する動きに強く抗議 した。チェコ国民に対して深い同情を抱いた。今やチェコはこうした困難を乗り越えて、自由、民主主義に向けて改革を断行し、明年にはEUに加盟するという 発展を遂げた。大変感銘を受けている。

【質問】
米がイラクにおけるオペレーションに協力を期待する国のリストの中で、日本の位置づけを下げたとの情報がある。総理はこれまでも、日米同盟と国際協調の両 方を追求すると言ってこられたが、日本の対イラク人道復興支援について、日米同盟と国際社会との協調という方針の間でどのように整合性を確保していく考え か。

【小泉総理】
戦後一貫した日本の外交方針として、日米同盟と国際協調を両立させていくことに変わりはない。また、イラクの人道復興支援において日本が出来るだけの貢献 をしていくことにも変わりはない。日本の国情からして、他国と異なる役割があってしかるべきだと思う。日本は、日本としての役割を主体的に考え、実行して いく。と同時に、日本の国益を考え、日米同盟を堅守していく。

【質問】
総理訪問でアシモのようなロボットをよく連れて行くのか。それともチェコだけか、又、シュピドラ首相は今後日本を訪日する際、何か特別の製品をもっていく考えはあるか。

【小泉総理】
今回、アシモを連れてきたのは、チェコでロボットという言葉が初めて使われたからである。今夕の晩餐会ではロボットを紹介するつもりである。チェコの技術 水準は高く、日本はロボットに力を入れている。チェコだから出来るのであり、他の国ではそういった予定はない。

【シュピドラ首相】
次回、自分が訪日する際は、日本と文化的繋がりのあるチェコの典型的な製品をもっていきたい。発見出来るかは不安であるが。

【質問】
今回の訪問では、北朝鮮に関する問題について、拉致、核、ミサイルなどの問題について、包括的解決を目指すという日本の立場についてそれぞれの訪問国で力強い支持を確認することができた。こうした点も含め、今回の中東欧訪問をどのように評価するか。

【小泉総理】
今回、ドイツ、ポーランド、チェコを訪問して、これらの国より、北朝鮮など主要な国際問題につき、日本の立場に対する理解と支持を得ることが出来た。ドイ ツはEUの中核的な国であり、ポーランド、チェコは来年EUに加盟し、今後中心的な役割を果たしていくことになると思う。日本とEUの関係が拡大する中 で、ドイツ、ポーランド、チェコとの関係を発展させていくことは有意義だと思う。EU加盟後のチェコ、ポーランドは、投資先としても大きな可能性を秘めて おり、今回の訪問は意義があったと思う。