平成15年8月20日
8月20日、小泉総理はポーランドを出発してチェコに到着し、21日14時10分から約1時間10分に亘って、首相府にてシュピドラ首相と会談を行った。
シュピドラ首相より、昨年の天皇皇后両陛下のチェコ御訪問の成功に引き続き、日本から初めての総理大臣訪問に心からの歓迎の意が表され、今 回の総理のチェコ訪問が今後の両国関係の更なる発展の契機となることを希望する旨述べた。また、昨年の大洪水の際、日本政府並びに国民から迅速な支援が あったことに改めて謝意が表された。
これに対し、小泉総理より、天皇皇后両陛下御訪問時の大歓迎に改めて謝意を表すると共に、今次訪問が両国関係の発展の契機となることへの期待を表明した。
小泉総理より、(イ)来年のチェコのEU加盟を睨み、日本の経済界もチェコに注目しており、これを機に両国経済関係の発展を期待している、 (ロ)双方向の投資環境整備が重要であり、事務レベルで問題点を洗い出しその方途につき協議させたい旨述べた。これに対し、シュピドラ首相より、(イ) チェコは、チェコ・スロバキアの時代から先端技術を誇ってきたが、天然資源の少ないチェコでは、人的資源と文化が経済を支えている。(ロ)世界第二の経済 大国である日本との協力を促進していきたい、現在チェコでは日系企業が119社展開しているが、更なる関係の緊密化を期待したい、(ハ)チェコのEU加盟 が、日本にとって障害となることはなく、むしろ利益になると信じている。日本企業を含む外国企業に対する現在の投資優遇措置は、当初よりEU加盟によって も変更されないように設定されている旨と述べた。
更に、シュピドラ首相より、日本との経済関係促進のために日・チェコ間の直行便を開設したいとの希望表明があった。これについて小泉総理よりは、直行便開設には航空会社による運行計画が前提となる、これを踏まえ検討されていくこととなろうと述べた。
小泉総理より、(イ)日本は第二次世界大戦の反省もあり、戦後一貫して日米同盟と国際協調との両立を基本方針としてきた、(ロ)イラク問題 への対処については、日本は一貫して米英を支持しており、7月のイラク復興支援特措法成立を踏まえ、今後は、憲法の定める戦闘行為不参加の原則のもと、十 分な現地調査の上、何処でどの様な支援をしていくことが適当か検討していくこととなる、チェコとも協力して活動できる分野があれば協力していきたい旨述べ た。
これを受けシュピドラ首相より、(イ)チェコはイラク復興支援のため野戦病院部隊と、軍や警察官を派遣している他、連合暫定施政当局 (CPA)への参加を検討している、(ロ)イラク情勢の安定化にはまだ時間がかかると思うが、中東地域全体の安定のためにも、国際社会全体のためにも、イ ラクの安定は重要であると述べた。
また、先日の国連施設爆破事件については、卑劣な攻撃であり強く避難すると述べるところがあり、小泉総理よりも全く同感である旨述べた。
小泉総理より、(イ)拉致問題の経緯や日本の立場等につき具体的かつ詳細に説明した上で、日本にとって北朝鮮問題は、外交上重大な関心事で あり、近く六者協議が開催される際には、北朝鮮の核開発問題が取り上げられようが、日本としては拉致問題も同様に重視している、今後解決の難しい問題とな ろうが、日・米・韓・中・露とも同問題を平和的・外交的に解決する方針で一致している、(ロ)チェコは北朝鮮と長い外交関係にあり、北朝鮮を孤立させずに 国際社会の一員として行動することを、機会を見て説得する等、協力して頂ければ幸いである旨述べた。
シュピドラ首相よりは、(イ)チェコもこの問題に多大な関心を持っており、情勢の展開を注視している、昨年のインド・パキスタンの事件も あったが、核拡散は、国際社会として容認出来ない、(ロ)チェコは北朝鮮と外交関係を有しており、可能な限り日本に対して協力できないかと考えている、 (ハ)チェコは来年EUに加盟するが、日EU共同声明ではEUより日本の立場に対する全面支持が確認されており、チェコの立場はEUと同じである旨述べ た。