大使からの御挨拶
2010年1月
駐チェコ日本国大使
原田 親仁
2010年は、一昨年秋以来の米国を発端とする世界的な金融・経済危機から多くの世界各国がなかなか抜け出せない中でスタートしました。更に、アフガニスタン問題やイラン、北朝鮮の核問題、気候変動問題等、国際社会が直面する数多くの困難な問題があり、これらに対し、米国、日本そしてEUを始め世界各国が一体となって協調して取り組むべき必要性がますます高まっています。
そのような状況の中で、昨年を振り返ってみますと、前半には、チェコがEU議長国を務めるというチェコ外交上大変重要な出来事がありました。我が国との関係でも、5月には麻生総理(当時)がプラハを訪れ、日本・EU、日本・チェコの首脳会談が行われ、良好な二国間関係の一層の強化と共に、国際問題への貢献の重要性が議論されました。相前後して3月には日・チェコ間で環境に関するGISガイドラインの署名が行われ、6月には日・チェコ社会保障協定が発効する等、経済関係を中心に具体的な成果を収めることができました。そして、年末の12月にソボトカ上院議長一行が訪日し、江田参議院議長ほかと協議を行うなど両国の政治的なハイレベルでの意見交換が行われた年でもありました。
今年は、チェコでも我が国でも選挙の年です。今年の夏には我が国の参議院議員選挙が行われます。在外選挙の手続きを済まされていない方は、大使館領事部にて手続きがとれますので、早めにご連絡下さい。
一昨年10月の赴任以降、日・チェコ双方の様々な政財界人とも会ってきましたが、チェコにおける日本のプレゼンスの大きさを改めて感じるところです。これは日系企業を始めとする在留邦人の皆様方のご尽力によるものであることは間違いありません。
文化面に目を向けると、昨年は文楽素浄瑠璃や茶道、生け花、和菓子等の伝統文化の日本紹介イベントを行いましたが、最近はマンガ等のポップカルチャーまで幅広く日本文化の多様性に対するチェコ人の関心の高さや広がりが見受けられ、非常に勇気付けられています。
また、チェコ日協会やチェコ日本人会の活躍も見逃せません。特に、チェコ日本人会では秋祭りをチェコ人に開放して2回目となりましたが、多くのチェコ人の参加が得られ、大好評を博しました。週末の午後、チェコ人と日本人の交流が和やかに繰り広げられ、心温まるひとときでした。
本年も日本文化を広く紹介するため、1月から2月にかけてを「日本文化月間」と位置づけ、集中的に日本関係行事を実施するとともに、これをプラハ以外の都市でも実施する予定です。
世界的な経済危機にも拘わらず、日・チェコ間のこれまでの良好な関係等を反映して、在留邦人も昨年10月現在で約1,500人、日本人学校の生徒数も約130人、また、日系企業も約240社、日本からの観光客も年間12万人余りと従前の水準を維持しています。
チェコは欧州の中でも比較的治安の良い国ですが、毎年かなりの日本人がスリ、置き引き等の被害に遭っています。こうした状況を踏まえて、当館では「安全の手引き」を毎年更新し、犯罪の事例と共に対応策についても紹介しています。ご家族、お知り合いの方々と共に、改めてご一読いただければ幸いです。
本年も昨年に引き続き、良好な日・チェコ関係の更なる発展を目指して尽力すると共に、チェコにおける経済・文化活動、更には皆様の日々の生活を最大限に支援していく所存です。本年も、当館業務に対し、引き続き皆様の温かいご支援・ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。